還空論
HP「SECRET GAME」の付属ブログです。日記や小説。
ただしここでの小説には、あまり計画性がありません; HPの小説の番外編もあります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
愬は後宮に来ていた。宮殿を制圧する中で仲間から連絡があったのだ。本当は後宮に行く予定はなかったが、1人戦闘から抜け出してきた。
女官たちは既に逃げていたようで案外静かだ。愬はいちばん奥の部屋へと進む。
最後の扉を躊躇いもなく開くと、自然と息を呑んだ。
「翏になんて言えばいいんだ……」
仲間からの連絡で既に知っていたこととはいえ、目の当たりにすると胸が痛む。
愬はベッドに横たわる女性に近づいた。口元に手を当てて息を確認しようとするも、期待通りの反応は無かった。
「防腐処理…死んだのは昨日今日の話じゃねぇな…」
愬はため息を吐く。
「“連れてくる”って約束したんだけど……ごめんな、翏」
「愬」
愬ははっとして振り向いた。どうやら仲間の1人が追って来たようだ。
「あ、ごめん。すぐに戻る」
「いや、あの。先発隊から連絡が来て。どうやら地下牢に囚人がいるらしい」
「囚人? 宮殿の地下牢は使われてないって詩紀は言ってたぜ。あいつここのことずっと調べ続けてたからな」
「それが囚人とは思えない身なりの男で。詩紀に報告したら、愬に行ってもらえって。処遇は愬に任せるからって」
「俺、に? ――分かった」
翏は言われた通り皇宮の中には入らず外門を制圧した部隊と共にいた。
次々と中からなだれ出てくる人たちを、味方が片っ端から捕らえていく様を見て青ざめる。
「ごめんなさい…ごめんなさい」
思わず呟いた。
だったらどうします?
「綸、お前はそれほど愚かな奴か」
庚の目つきが変わった。口調も変わっている。
「お前から父を、国を奪った私が憎いか? 奪われた国など滅びても構わぬか!? ――そこに暮らす民が――」
“苦しんだとしても”
庚は言葉を止めた。
……なんということだ。董狐の言った通りじゃないか。
庚は“良き王”なのだ。
――民を思う王なのだ。
では何故非道に見せている。
残虐な王に見せている。
分からない。
でも、これだけは言える。
庚が真に民を思う王ならば、
「やはり父上は」
あの10年前のクーデターは、
「正しかったんだ、父上が死ぬことが――」
「綸……?」
「正しかったんだ……」
庚は俺の両肩を強く握った。
「正しいものか!」
「叔父上?」
「私は兄から、お前の父から、無理やり! 外道な方法で! その地位を簒奪した! これが正しいものか! 正しくあるはずがない! だから見ろ!」
庚は戦場を指差す。
「平和だったはずのこの国で、今や血が流れている! 戦乱の世になった今、民は私を呪うだろう!」
どうして気付かなかったんだろう。
このどうしようもない違和感に。
気づこうと思えば気づけたはずだ。
――10年前の、始まりの時に。
「叔父…上」
俺の目から涙が零れた。
「貴方がそんなに必死に守る物は、父の名誉ですか」
余程の理由が無い限り、父を慕っていた叔父上が父を殺すはずがなかった。
庚は固まった。
わずかに動く口から漏れでる言葉は、聞き取りやすいものではなかった。
「ただの兄弟なら良かった」
ただの兄弟ならば良かった。たとえば商家。農家でもいい。
ただの兄弟だったなら、心優しい兄を無条件で敬愛していられた。
心から尊敬していればそれで良かった。
だけど違った。
私たちの眼前には、無数の命が広がっていた。
それらのことを思うと、兄を許すわけにはいかなかった。
「ただの兄弟ならきっと――殺す必要なんてなかった」
「俺は、父がして来たことを知ったんです。烟梓の町で、父に家を潰された人に会いました。聞いただけではやはり心のどこかでは信じられない自分がいて、貴方が憎いのは変わらなかった。でもこの国に帰って来て、俺は“考えろ”と言われました。落ち着いて、じっくりと考えてみたら、思い出したんです。貴方という人物を」
庚は無言で俺の話を聞いていた。
「母上を父上から奪うためだけに暴動を起こすような愚かな人ではありませんでした。貴方はそんな、感情だけで動くような、浅はかな人ではありませんでした。そんな理由だけで父上を殺すような人ではありませんでした。それ程の絆しか、父上と貴方との間に無かったとは思えませんでした。貴方は確かに、民を思う人でした。民を思って働く人でした。父上を殺してこの国の皇帝になったことも、その後の民に恨まれるような政務も、何か理由があったのでしょう? 俺はようやく10年経って、今になって、それらのことを冷静に考えられるようになった」
俺はひたすらに訴えるように話す。
「俺は父上を、立派な人だと信じていました。民の誰もが信じていました。父上を疑うことを知りませんでした。“洗脳されている”と言われました。確かにそうです。父上はこの国の誇りだった。そう信じていました。だから貴方に父上を奪われて誰もが反発した。父上を奪った貴方を、誰もが疑わず“悪人”にした」
「綸、それは――」
「そして貴方も民が思うような“悪人”を演じた」
女官たちは既に逃げていたようで案外静かだ。愬はいちばん奥の部屋へと進む。
最後の扉を躊躇いもなく開くと、自然と息を呑んだ。
「翏になんて言えばいいんだ……」
仲間からの連絡で既に知っていたこととはいえ、目の当たりにすると胸が痛む。
愬はベッドに横たわる女性に近づいた。口元に手を当てて息を確認しようとするも、期待通りの反応は無かった。
「防腐処理…死んだのは昨日今日の話じゃねぇな…」
愬はため息を吐く。
「“連れてくる”って約束したんだけど……ごめんな、翏」
「愬」
愬ははっとして振り向いた。どうやら仲間の1人が追って来たようだ。
「あ、ごめん。すぐに戻る」
「いや、あの。先発隊から連絡が来て。どうやら地下牢に囚人がいるらしい」
「囚人? 宮殿の地下牢は使われてないって詩紀は言ってたぜ。あいつここのことずっと調べ続けてたからな」
「それが囚人とは思えない身なりの男で。詩紀に報告したら、愬に行ってもらえって。処遇は愬に任せるからって」
「俺、に? ――分かった」
翏は言われた通り皇宮の中には入らず外門を制圧した部隊と共にいた。
次々と中からなだれ出てくる人たちを、味方が片っ端から捕らえていく様を見て青ざめる。
「ごめんなさい…ごめんなさい」
思わず呟いた。
だったらどうします?
「綸、お前はそれほど愚かな奴か」
庚の目つきが変わった。口調も変わっている。
「お前から父を、国を奪った私が憎いか? 奪われた国など滅びても構わぬか!? ――そこに暮らす民が――」
“苦しんだとしても”
庚は言葉を止めた。
……なんということだ。董狐の言った通りじゃないか。
庚は“良き王”なのだ。
――民を思う王なのだ。
では何故非道に見せている。
残虐な王に見せている。
分からない。
でも、これだけは言える。
庚が真に民を思う王ならば、
「やはり父上は」
あの10年前のクーデターは、
「正しかったんだ、父上が死ぬことが――」
「綸……?」
「正しかったんだ……」
庚は俺の両肩を強く握った。
「正しいものか!」
「叔父上?」
「私は兄から、お前の父から、無理やり! 外道な方法で! その地位を簒奪した! これが正しいものか! 正しくあるはずがない! だから見ろ!」
庚は戦場を指差す。
「平和だったはずのこの国で、今や血が流れている! 戦乱の世になった今、民は私を呪うだろう!」
どうして気付かなかったんだろう。
このどうしようもない違和感に。
気づこうと思えば気づけたはずだ。
――10年前の、始まりの時に。
「叔父…上」
俺の目から涙が零れた。
「貴方がそんなに必死に守る物は、父の名誉ですか」
余程の理由が無い限り、父を慕っていた叔父上が父を殺すはずがなかった。
庚は固まった。
わずかに動く口から漏れでる言葉は、聞き取りやすいものではなかった。
「ただの兄弟なら良かった」
ただの兄弟ならば良かった。たとえば商家。農家でもいい。
ただの兄弟だったなら、心優しい兄を無条件で敬愛していられた。
心から尊敬していればそれで良かった。
だけど違った。
私たちの眼前には、無数の命が広がっていた。
それらのことを思うと、兄を許すわけにはいかなかった。
「ただの兄弟ならきっと――殺す必要なんてなかった」
「俺は、父がして来たことを知ったんです。烟梓の町で、父に家を潰された人に会いました。聞いただけではやはり心のどこかでは信じられない自分がいて、貴方が憎いのは変わらなかった。でもこの国に帰って来て、俺は“考えろ”と言われました。落ち着いて、じっくりと考えてみたら、思い出したんです。貴方という人物を」
庚は無言で俺の話を聞いていた。
「母上を父上から奪うためだけに暴動を起こすような愚かな人ではありませんでした。貴方はそんな、感情だけで動くような、浅はかな人ではありませんでした。そんな理由だけで父上を殺すような人ではありませんでした。それ程の絆しか、父上と貴方との間に無かったとは思えませんでした。貴方は確かに、民を思う人でした。民を思って働く人でした。父上を殺してこの国の皇帝になったことも、その後の民に恨まれるような政務も、何か理由があったのでしょう? 俺はようやく10年経って、今になって、それらのことを冷静に考えられるようになった」
俺はひたすらに訴えるように話す。
「俺は父上を、立派な人だと信じていました。民の誰もが信じていました。父上を疑うことを知りませんでした。“洗脳されている”と言われました。確かにそうです。父上はこの国の誇りだった。そう信じていました。だから貴方に父上を奪われて誰もが反発した。父上を奪った貴方を、誰もが疑わず“悪人”にした」
「綸、それは――」
「そして貴方も民が思うような“悪人”を演じた」
PR
たまに浮上するBL疑惑…!(特に「SECRET GAME」)
あの、違います^^;
違いますよ!!
BLに嫌悪感があってこう言っているのでは勿論ありません。
知り合いの子が私のキャラで妄想してても、それを聞くのはそれはそれで楽しかったですし。
普通に面白かったですし。
それでも私自身はそのつもりで書いてませんよ、と改めて伝えたかっただけです☆
寧ろそのつもりで書くと書けなくなると思います。
BLって要は恋愛ものじゃないですか。
恋愛ものを書く!と意識すると困ったことに何も書けなくなるんです。話の中にちょろっと織り交ぜるのならいいんですけど。
ということで妄想は自由に許可です。
でも本当は違うんですよ~ってことを言いたかったんです^^
あの、違います^^;
違いますよ!!
BLに嫌悪感があってこう言っているのでは勿論ありません。
知り合いの子が私のキャラで妄想してても、それを聞くのはそれはそれで楽しかったですし。
普通に面白かったですし。
それでも私自身はそのつもりで書いてませんよ、と改めて伝えたかっただけです☆
寧ろそのつもりで書くと書けなくなると思います。
BLって要は恋愛ものじゃないですか。
恋愛ものを書く!と意識すると困ったことに何も書けなくなるんです。話の中にちょろっと織り交ぜるのならいいんですけど。
ということで妄想は自由に許可です。
でも本当は違うんですよ~ってことを言いたかったんです^^
カレンダー
カテゴリー
最新記事
最新コメント
ブログ内検索