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還空論 HP「SECRET GAME」の付属ブログです。日記や小説。 ただしここでの小説には、あまり計画性がありません; HPの小説の番外編もあります。
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 「それじゃあこのままのたれ死ねって言うのかよ、桜夜っ!」
 「そんなことは言ってないだろ! 落ち着けって言ってるんだよ俺は!!」
 「やめてよ良平、桜夜」
 夕華が必死に俺たちの間に入る。
 でも良平は夕華を無視して俺の胸倉をつかんだ。
 「弱虫が!! お前は逆らうのが恐いんだろ? 俺はごめんだね! もうこんな生活我慢ならないっ、たてついてやる!!」
 「だからそれは無意味だって言ってんだ!!!」
 俺は怒鳴った。
 周りにいた奴らが驚いて俺に注目する。
 それはそうだ。こんな風な大声を、俺は出したことがない。
 「ねぇ、2人とも!」
 良平にはねのけられながらもなお俺たちを止めようとする夕華を、孝《こう》と有斗《ありと》と澪《みお》が止めた。
 そして俺に向かって言う。
 「俺たち3人は良平に賛成だ。無力だと分かってても抵抗すべきだと思う。それが日本人の誇りを守ることだろう? こんな狗のような生活を続けてまで、生きていたくはない」
 「でも今までちゃんとやってこれたじゃない。それなりに楽しく…」
 「やめろ夕華!!」
 俺が止めても、夕華は続ける。
 「苦しくっても、これからも皆で助け合っていけば――」
 澪が夕華の頬をはたいた。
 「いい加減にして! いつまでもそんな綺麗事ばかり言って、夢ばっかり見て、あんたには心底苛々してたのよ!! あんただけじゃなくて桜夜にもね! いちばん年下のくせに…何も知らないくせに! あたしたちはあんたたちより10も年上よ? ちょっと頭が良くて強いからって、偉そうに口答えして…!」
 「くだらない」
 俺は言った。
 「あんたたちはよく“日本人の誇り”だとか言うけどな、そんな下らないことがあんたたちの言う誇りだって言うんなら、そんなもの消してしまえ!!」
 「桜夜!!」
 夕華の叫び声が聞こえてきたかと思うと、孝がナイフを持って俺に飛びかかってきた。
 俺は咄嗟にそれを避ける。
 「孝、やめるんだ!」
 それまで呑気に見物していた奴らが必死に抑えにかかる。
 それでも孝は叫んだ。
 「抵抗してやる! 死んでもいいんだ!! 誰の指図も受けない!!」
 異常なほど興奮しているその姿を見て、俺は孝が薬を飲んでいるのを見たことがあると思い出した。
 どこから手に入れているのかも分からない。
 おそらくどの建物からか盗ってきたんだろう。
 良平たちもナイフを取りだした。
 「俺たちは行く。止めるなよ、止めれば殺す!」
 孝が抑えをはねのけて再び俺に襲いかかってきた。
 「桜夜!!」

 また、夕華の叫び声が聞こえる――。

 生々しい音が耳に残った。
 俺は、自分をかばってナイフを突き立てられた夕華を見下ろす。
 「はははははは!」
 周りの奴らが全員青ざめているのに対し、1人狂気に満ちている孝と、顔色1つ変えないあの3人を見て、カッと頭に血が上るのを感じた。
 「…………よくも…」

 よくも、夕華を!

 夕華に刺さっているナイフを抜いた。
 「やめるんだ桜夜!」
 どこからともなく制止の声が上がる。
 俺はそんな声を無視して4人を殺し、――走って逃げ出した。
 ただ一目散に、逃げ出した。

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 私たち2人だけが、きっと何も知らないのよ。
 日本がどういう国だったか。
 お母さんも死んじゃって、もう教えてくれる人なんていないもの。
 ねぇ、桜夜。知りたいと思わない?
 もっとたくさんのこと。
 昔は“学校”というものがあったと聞いたわ。
 いろんなことを学ぶことができるそうよ。
 桜夜、私と一緒に学校を作りましょう?
 いつかきっと自由になれたらよ。
 …無理かもしれないけどね。
 でも空想や想像は自由だわ。
 皆で仲良くそこで学ぶの。
 いろんな…たくさんのことをね。
 きっと学校ってのはいいところに違いないもの。
 そんな学校があった日本もいいところよ。
 なのにどうして――どうしてこんなことになったんだろうね。

 ジープの助手席に座っている間、彼女の言葉と憂い顔が浮かんだり消えたりを繰り返していた。
 夢を見るだけ見て、そして死んでいった彼女を哀れだと俺は思う。
 ジープが走り着いたところは、数少ない建物の中でいちばん大きな建物だった。
 エンジンを止めたところで男は言う。
 『お前英語は読めるか?』
 『読める』
 『じゃ、日本語は?』
 『………』
 返す気にもなれなかった。
 言われて初めて、情けないようなことに思えた。
 俺は日本語も英語も話せる――けど、日本語の読み書きはできない。
 英語はそれができるのに、だ。
 『読めないのか?』
 「うるさい…」
 俺は日本語でつぶやいた。
 男の顔つきが変わる。
 『何を言ったか知らないが、だいたいの想像はつく。俺は寛大だから水に流してやろう。けどな、朱月《あかつき》桜夜。これから入る部屋の中では日本語を口にしないことだ。権力者の機嫌を損ねるほど厄介なことはないだろ?』
 俺はとりあえず頷いた。
 『もしも怒りを買ったとき、“死”なんて期待しないことだ』
 そして男は独り言のようにつぶやく。
 『でも日本語が読めなかったら厳しいな。…でもまぁ、これは“罰”だし…』
 『何すんの?』
 『行けば分かるって言っただろ』
 建物の中の長い廊下を歩いて、つきあたりの部屋の前まで来た。
 男は扉を静かに開けて敬礼する。
 『連れてきました』
 その部屋の中にはどっしりとした体格の年輩の男が5人、テーブルを囲って座っていた。
 『――ご苦労』
 『戻っていいぞ』
 彼らがそう言うと、男はもう一度敬礼して扉に手をかけ、俺を見て言う。
 「コウウンヲイノル」
 日本語だった。彼はその一言を告げるとさっと部屋を出て行った。
 俺は1人取り残され、どうすればいいのかも分からず、とりあえず彼の前に進み出る。
 『さて、君。英語が分かるか?』
 誰かが言った。俺はきっぱりと答える。
 『分かる』
 『では、今ここで君の犯した罪への処罰を言い渡そう』
 『死刑ですか?』
 訊くと、彼らは首を振った。
 『“実験台”だ』
 実験台?
 『成功すれば君にはおそらく素晴らしいことが待っている。どうだ、悪くないだろう』
 『――成功しなければ?』
 『…………それは、我々にも分からない…』
 『ではその実験とは何ですか?』
 彼らのうちの1人が、微笑を漏らしながら言う。

 『“時空を越える実験”だ』

 『時…空……?』
 パンと彼が手を叩くと、妙な奇術師を思わせる女が2人入ってきた。
 『彼女たちの手で、君は過去へと導かれるのだ』
 ………これは、現実か?
 こいつらの頭は正常か?
 本当にそんなことができるとでもいうのかよ。
 できるわけがない。
 “過去”になんて行けるわけがない。
 『言っておくが、君に選択の余地などない。分かるな? これは罰。君たち日本人はイギリスの子飼いのようなもの。従う以外に道はない。例えそれが、倫理にもとるようなことであってもね…。もっとも、成功の保証などないに等しいんだがな』
 さぁさっさと始めよう。
 そんな声で俺はあっという間に男たちが囲むテーブルへと寝かせられた。
 不思議と心は落ち着いている。
 現実感がない所為だろう。
 もう、どうにでもなれという気持ちが強いからかもしれない。
 まさかこんなことになるとは思ってもみなかった。

 仲間を殺して逃げてきて、まさかこんなことになろうとは――。

 彼女たちが何かを詠唱する。
 でも何を言っているのか分からない。
 ただ何となく気持ちがいい。
 ふわりふわりと宙を漂うような感覚を最後に、俺は意識を失った。

 『失敗しました…』
 彼女たちの片割れが、悲痛の声で言う。
 『すみません、実験は失敗です…』
 そう言ったとたんあふれるような光と共に、テーブル上の全ての物が消えてなくなってしまった。

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ゴールデンウィークはだらだらするのかと思いきや、寧ろあまり家にいなかったのでだらだらできませんでした(´□`。)
しかし有意義な連休を過ごせたと思います。

「終国-ニホン-」は、大分前…どれくらい前かって、10年ぐらい前に書いたものです。……中学生って若いなぁ。既に第一章は過去に日記に載せたことがあってサイトにも移行済みでしたが、半端に一章だけで止まっていたので最後まで一気に載せようかなぁと。
何に影響されていたのかがまる分かりな感じがとても恥ずかしいですが多めに見て下さい。
ストーリーもひねりなく進んでいくので今の自分的には少し不満ですが、やっぱり当時の私が一生懸命書いたものではあるので、不思議と書きなおす気にはあまりならなくて^^;
これもまたいい思い出です。

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 元は、それなりに進んだ、平和な国だった。
 商業・工業・軍事力も発達し、お金のある国だった。

 ―――日本。

 今やそれは、終わりの国。



 地球上にいる日本人総員数は現在203名。
 うち、ヨーロッパ:99名。アメリカ:56名。アフリカ:13名。アジア:2名。
 日本:33名。

 『日本:33名』


 知ってる? 子どもの頃によく聞いていた話があるの。
 日本がまだ“日本”だった頃の話よ。
 お母さんが若い頃は裕福な国として世界に広まっていたって。
 留学生もたくさん来てたし、日本人だって1億人もいたそうよ。
 今の何倍かしらね。
 でもだからこそ人間味としてはどこか欠けてたところが多かったそうよ。
 毎日毎日事件の日々が続いていたと言っていたわ。
 もしかしたら今はある意味幸せなのかもしれないね。
 今日本にいる日本人の人たちは誰も、他人を裏切って自分の利を求める人はいない。
 ――少なくとも、私はそう信じているの。
 だからお願い約束して、桜夜《さくや》。
 どんな理由があろうとも、激しい感情が渦を巻いても、他人を傷つけたりしないで。
 約束よ、怒りに身を任せたりしないで。
 残り少ない日本人。皆で仲良くやっていけたら…それはすごく素敵なことよね。


 耳に言葉がまとわりつく。
 それを振り払い、なおかつ追っ手から逃げるために、俺は全速力で一面のコンクリートを駆け抜けた。
 花や草など生えるわけもないそのコンクリートの道路は、まるで果てしなく続いているかのようで、遠くにはうっすらと地平線が見えた。
 同じ色のコンクリートの建物があちこちに建っているが、それらには全て英語で何か書かれてある。
 当然、中には多数の外国人がいた。
 でもそいつらが出てくることはあまりない。
 何をしているのかは知らないが、俺たちは日々生きることのみに精一杯で考える余裕がなかった。
 俺はたった今、少ないながらも助け合って生きてきた“日本人の輪”というものを、真っ向からぶち壊して逃げてきた。
 「はぁ…はぁ…」
 Tシャツで汗を拭う。それでも汗は止まることなくどっと吹き溢れてくる。
 手でひざ頭をぎゅっと握った。
 「どうしよう…」
 俺は今さっき、生きる希望をなくしてしまった。
 “日本”…“終わりの国”なんて、さっさと滅びてしまえ。
 もう生きるのには飽きた。
 日本人という惨めさの象徴を、一生背負う勇気もない。
 少し後ろを振り返る。
 ――誰も追ってくる気配はない。
 地面はいつも間にかコンクリートから砂漠へと変わっていた。
 日差しが強い。
 眩しくて目を半目にしながら前へと進む。
 きっとこのまま行けば俺は確実に死ぬ。
 死ねる。
 解放される。
 俺はもういい加減解放されたいんだ。
 まあどの道俺を待っているのは“死刑”だろう。
 許されることをしたとは思わない。
 滅びてしまえばいいんだ。
 “日本人”なんて―――。
 一台のジープが走る音が聞こえてきた。
 それは俺の目の前を少し通り過ぎたところで止まって、軍服を着た体格のいい男が1人下りてくる。
 そして男は英語で言った。
 『俺の言うことが分かるか?』
 俺は頷く。――イギリス人だろう。
 『自分が何をしたのかも分かっているな』
 また、頷いた。
 俺は英語で返す。

 『死にたい…』

 馬鹿で愚かで惨めで…日本人とは、人間の“そういうところ”の象徴なんだ。
 勝手に滅ぼうとした種族。
 今俺がやっていることも全て日本人的な、いわば“愚かなこと”だと男も目には映っているに違いない。
 『何故?』
 男は訊いてきた。俺は言う。
 『もったいぶるなよ。どうせ俺は死ぬんだろ?』
 男は苦笑いを浮かべた。
 『死ぬために“あんなこと”を?』
 『違う!!!』
 俺はそれきり黙った。

 沈黙が流れる。
 聞こえてくるのは風の音。
 建物が少ない所為で、風は何にぶつかることもなく、自由にどこまでも駈けていく。
 男はジープに寄りかかった。
 そして俺の目をじっと見て、ゆっくりと口を開く。
 『お前は幸運だな』
 『………?』
 この男は、何を言っているのだろう。
 『今地球上にいる日本人の数を知っているか?』
 俺は首を横に振った。
 男は煙草を取りだし、吸いながら言う。
 『教えてやろう。ヨーロッパに99人。アメリカに56人。アフリカに13人。東南アジアに2人。日本に33…いや、ついさっき28人になったんだっけ』
 全てを見透かすような視線が俺を貫く。
 『計198人だ』
 『―――それがどうした?』
 『惨めだな、日本人ってのは…。“日本”っていうのは名ばかりで、今やイギリス領になっている。残ったその198人は、ほぼ全員が下働きとして働いている。十数年前までは“幸福”の象徴だった奴らがよ』
 男は声を押し殺して笑った。
 『“図に乗る”ことがどんなに愚かか、全世界中に知らしめてくれた。あぁそうそう、さっきお前に“幸運だな”と言ったのはな…』
 男が近寄ってきて、俺の腕を引いた。
 『付いてくれば分かる』
 付いていくしかないと思った。
 どうせ逃げても捕まって連行されるんだ。
 ――無駄な抵抗など、無意味だ。

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