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還空論 HP「SECRET GAME」の付属ブログです。日記や小説。 ただしここでの小説には、あまり計画性がありません; HPの小説の番外編もあります。
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ゴ、ゴールデンウィークが始まる…!
いろいろと集まりがあります。でもきっと、それ以上の時間をだらだらして過ごすと思います!笑”
だらだらって素敵な響きー(//∀//)

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 ――どこ。
 どこにいるの。
 出て来て。
 一緒に逃げよう。
 ここに居ては駄目なんだ。

 ねえ、どこにいるの。
 どこにいるんだよ。

 早く、早く。

 煉…!!!


 シアンははっと目を覚ました。
 ふと、自分の顔をレンが覗き込んでいることに気づく。
 「あ、起きた。珍しいな、シアン。お前が仕事中にうたた寝するなんて。あんまり珍しいからちょっと覗いてたんだ」
 「煉……レン……?」
 「うん? どうした? 俺の顔に何かついてる?」
 「いや……ちょっと、夢見てて……」
 レンは笑った。
 「成る程、大方夢から急に現実に戻ったから、頭が混乱してるんだな。顔でも洗えば?」
 シアンは自分が机に座っていることを確認し、立ち上がる。
 「そうするよ。少佐は?」
 「まだ寝惚けてるのか? ハルは今日休暇で朝からいないだろ」
 「――そうだったな」
 「良かったな、ハルがいない日で」
 「本当に」
 シアンは洗面台に向かった。飾られている自分の顔を見て、ため息を吐く。

 酷い顔だ。
 過去を夢に見て――絶望感に、うちひしがれている顔。
 いや、違う。
 罪悪感に、苛まれている顔だ。

 夢を見た。
 10年前の記憶。
 終戦直前の、あの日のこと。
 必死に友人を捜したのに、見つからなかった。

 見つからないまま――生き残るために、逃げた。

 “生き残るために行動したこと”に対する罪悪感。
 “友人を見捨てたこと”に対する罪悪感。

 どこだ、煉。
 どこにいる。
 一緒に逃げよう、煉。

 「今度は洗面台の前で寝てるのか?」
 シアンは再びはっとして振り返った。
 レンが、呆れたようにタオルを持って立っている。
 シアンはさっさと顔を洗ってタオルを受け取った。
 「はいはーい。じゃあ顔を拭いたシアン曹長は、さっさと家に帰って下さーい」
 この声はアーシュだ。彼もまた呆れ顔で立っていて、シアンと目が合うとさっと扉を指差した。
 「帰って寝ろよ、シアン。調子悪いんだろ?」
 「そう――かもしれない」

 こんな、昔のことばかり思い出すのは…やっぱり、平常ではないだろう。

 シアンは傍にいたレンを抱きしめた。
 15歳にしても華奢な方である彼の体は細くて軽くて、夢の中の友人と重ねる。
 実際夢に出てくる不鮮明だったはずの友人の顔は、日増しにレンの顔へとすり替わってきていて。

 ああ、いつか。
 この悪い夢から、覚めることがあらんことを――。

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「Nobody Knows」というタイトルの自分で書いたお話がありまして。
今までもちょくちょくと断片的なことを日記に載せていたりしたんですが。(カテゴリー移動させました)
本編はいつか「SECRET GAME」が完結したらサイトに載せたいです^^;
伝わりそうで伝わらない短編を日記の方に載せていきたいと思います。理由はたまに書かないと私がキャラを忘れるから!
しばらくは既存のものしかアップしないと思いますが☆
日付を見るともう5年以上前のものでした。時が経つのは早いなぁ。

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 カッツ=イシス子爵が治める、シュヴァイツ帝国最南端の地。
 そのイシス領に住む人々は、帝国の北にあるギル公国とのおよそ7年にも及ぶ戦争の際、大した被害もなかった。
 南で国境を為すラドア王国が平和主義の中立国であるため、ギル公国軍の南への侵入が容易でなかったためである。
 しかしもともとカッツによる統治は人々の生活を蝕むものであり、しかも徴兵や物品徴集はあったものの、直接軍隊による被害がなかったことから、カッツはその恩恵は自分にあると主張し、その統治はますます厳しいものとなった。
 戦下、下級貴族への増税も当然で、イシス家の財力が破綻していったことが原因のようである。

 シュヴァイツ帝国シルフィ治世、イシス領の村の1つにレイムという少年がいた。

 イシス領では年に1度、領地内の有志による格闘戦が行われる。これは昔から続いてきた伝統であるため、たとえ生活苦にあっても続けられてきた、人々の唯一の娯楽だ。
 「勝者、レイム!」
 見物客たちから歓声が起こる。それと同時にレイムは皆に囲まれ、そして1人の男に抱え上げられた。
 「やるじゃないか!」
 「今年の優勝はレイムだ!」
 「姉ちゃんも喜ぶぞきっと!」
 わずか12歳の少年は照れたように笑う。
 「うん、ありがとう皆っ」
 「レイムー!!」
 彼とよく遊んでいる弟分・ロルカも見物客の中にいて、レイムに集まる大人たちの間を縫ってようやくレイムの元に辿り着いた。
 「ロルカ!」
 「レイムかっこよかったっ。なぁ早くレーシーのところに帰ろうよ!」
 「帰ろ! じゃあおじさんたちまたね!」
 2人は手を取り合い、笑顔で村へと走り去っていった。


 ほとんど白に近い灰色の髪、それとは対照的な黒い瞳。
 12歳にしては背が高い方で、それでもやはり“子ども”の彼が優勝したという大ニュースは、すぐにイシス領を駆けめぐった。
 領主・カッツの耳に届くのが早かったのも、仕方がない。
 「子どもが?」
 「はい、カッツ様」
 もうすぐ50の歳を迎えるカッツは、年若い側近を見やって、脂肪が付いてまるくなった口元に笑みを浮かべた。
 「面白い。ではその子どもを我が城へ呼べ。私が直々に祝おうではないか」
 「――かしこまりました」


 「姉ちゃん!」
 レーシーは自分の弟の明るい声に、目を覚まして体を起こした。
 自分が寝ていたベッドの横にはレイムとロルカがいて、誇らしげな笑みを浮かべている。
 「聞いてよレーシー、レイム優勝したんだよ」
 ロルカが言った。
 「すごいわ。貴方は私の自慢の弟よ。どこも怪我はない?」
 「ないよ。俺、余裕だったもん」
 「そう、良かった。私も見に行けたら良かったのに」
 「いいよ、姉ちゃんが倒れたりしたら大変だ」
 大会があった町は、レイムたちの村から30分ばかり歩いた場所にある。体の弱いレーシーにとっては酷な道のりだ。
 ――薬さえあれば元気になるだろうと医者は言う。
 でも薬なんてここにはない。
 あっても、買うお金もない。
 だからレイムはレーシーの代わりにいろんなところに行き、いろんな物を見て、いろんなことに参加し、経験し、それを姉に語る。
 お金は行く先々で助人や手伝いをしたりして稼いでいた。それに、レーシーが家で作る服を売ってお金に換えてもいる。
 「それでね、決勝の相手がさー」
 レイムとロルカが喜々として今日のことをレーシーに語っている時、コンコンと、扉をノックする音が聞こえてきた。
 「お客さんかしら?」
 そう言って立ち上がろうとするレーシーを抑え、レイムが扉に向かう。
 開けると、とても村人とは思えない、上品に整られた服を着ている男が立っていた。
 レイムは思わず呆然と彼を見つめ――ようやく、彼の名を口にする。
 「ジル……さん……」
 「ああ、私の名を知っているんだね。だったら話が早い」
 ジルは、レイムににっこりと微笑みかけた。
 「君が優勝したっていうレイムくん、かな?」
 「そう……ですけど」
 「君を――貴方を城へ招けとの、主人の仰せです」
 レイムは眉をひそめた。
 「だから?」
 「最高のもてなしを致します。是非城へお越し下さい」
 「このイシス領民は皆、あんたのご主人様が大っ嫌いだ!」
 ついでにあんたも――その言葉は飲み込んだ。
 カッツの側近であるジル。彼は税の取り立てを任されている。そのためなら城から領地に下りてくることもしょっちゅうで、カッツの家臣の中で最も領民に顔も名前も知られている。
 「貴方の好き嫌いなどどうでもいいんですよ。主人が連れてこいと私に命じた、だから私も貴方を連れて行く――ただそれだけのことです。逆らうことは許されません」
 「―――っ」
 ジルはレーシーとロルカを一瞥し、レイムに視線を戻した。
 まるで“あの2人がどうなってもいいのか”と、そう語りかけているようで、レイムは彼に大人しく従った。



 「待っていたよ、レイム」
 城に到着すると、領民たちの前には滅多に顔を出さない領主が、身の周りを側近たちで固めて座っていた。
 「おめでとう、まだ子どもにも関わらず優勝するとは、是非その腕前を私も拝見したいものだ」
 レイムはカッツの眼前で固まっていた。
 背後にはジルがいて、逃げ出すこともできない。
 それでも逃げたかった。
 大嫌いな人間に顔をつきあわせていることが、耐えられなかった。
 できれば耳障りなその声も、聞きたくなかった。
 「――嫌だ」
 やっとの思いで、それだけを答える。
 怒るかとレイムは多少身構えたが、カッツは予想に反して笑った。
 「性格も勝ち気でいい。歓迎するよ、レイム。君は今日から我々の仲間だ」
 レイムは目を見開く。
 言われた言葉の意味を理解するのに、途方もない時間を労した。
 「何…を……?」
 カッツはもう一度言う。
 「歓迎すると言ったんだ、レイム。お前を私の家臣にすると言っているんだよ」
 「はっ―――冗談…っ」
 「冗談ではない。喜んではどうだ?」
 「冗談……」

 冗談じゃない…!!!
 カッツの下で働けと?
 この最悪な領主から俺たち領民はどれだけ搾取されて来ただろう…!
 俺に、搾取する側に回れと言うのか!!?

 「家臣にするんだ。当然、俸禄も出す。市井で暮らしていては一生かかっても手に入れることはできないぞ」
 刹那、レイムの心が揺らぐ。

 そうだ、この地で最も豊かなのは領主だ。
 領主の下で働くのが、いちばん稼げるに決まってるじゃないか。

 「姉がいるんだろう? 体が弱くて、でも薬が手に入らないとか。私の下で働けばお金の心配をする必要が無くなる。薬の手配もしてやろう。どうだ? いい話だろう」
 「―――っ」
 レイムは怒りを必死に抑えた。
 薬も買えないほど貧しいのは一体誰の所為だと、叫びたくてたまらなかった。
 「仕事内容は私の護衛だ」
 「誰が……」

 誰が、お前なんかを守りたいものか。
 でも……。

 でも……!!!

 唇を噛むレイムに、ジルが背後から小声で話しかけてきた。
 「“是”と言え、レイム。分からないのか。君は今、姉と友人を人質に取られているも同然なんだ」
 「…………俺は……!」
 レイムはカッツに近寄り、その前で片膝を折った。

 「心身共にお仕えします、カッツ様――」

 カッツの余裕の笑みから、レイムは目をそらしていた。



 レイムが城を去った後、お茶を飲むカッツにジルは尋ねた。
 「何故あのような子どもに執着するんですか?」
 「――子どもだから、だよ。子どもはちゃんとしつければ、従順な生き物に育てることができるだろう? 精神の育ちきった“大人”を下手に雇うよりは安全だ。今はまだ私に反抗心を抱いているが、レイムには姉という弱みがある。しつけるのも楽そうだ」
 「成る程――」
 ふと、ジルは窓の外を見つめた。
 高台にあるこの城からは、領地が一望できるようになっている。
 そこにレイムが住む村を見て、笑った。

 あの子ども、そんなに一筋縄にいくものか――。


 “事件”が起きるのは、5年後のお話。

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