還空論
HP「SECRET GAME」の付属ブログです。日記や小説。
ただしここでの小説には、あまり計画性がありません; HPの小説の番外編もあります。
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僕は民衆の手で牢に入れられた。
兄さんの口添えで処刑されることはなかった。
その冷たい牢に、兄さんがやって来る。
「ごめんな、月雫。もうすぐ出してやるから。今の状況が落ち着いたら」
「……分かった」
くらっと、目眩がした。
僕が倒れると兄さんがあわてて牢の鍵を開けて入って来る。
「大丈夫か!」
兄さんが僕の頬に手を添えた。
泣きそうな表情をしていた。
「大丈夫か、月央……」
“月央”?
「意地が悪いなぁ、兄さん…。僕が月雫じゃないって分かってたの?」
「当たり前だろ。お前たち2人、顔はそっくりだけど見分けられなかったことはない」
「そんなに…僕のこと、見てた?」
「ああ。だって大事な弟だから。……ったく無茶ばかりして。お前は昔から体が弱かったから。すぐに部屋に連れて行ってやる。休めば治るだろ」
僕は首を振った。
「ここがいい。牢の中が、いい。僕ね、月雫を――」
「殺したのか」
兄さんの声は震えていた。
僕が何も答えずにいると、更に言う。
「どうして俺は殺さなかった。お前が憎んでいたのは俺もだろ?」
「だって、だって兄さんは――」
兄さんが王になることが、あいつの夢だったから。
あいつの夢が、僕の夢だったから。
第53代目国王・真月(しんげつ)。
実名を曙月といい、一度継承権を捨てた彼は蜂起して玉座についた。
この異例の出来事の裏には、彼の弟・月央の1人の少女への思いがあった。
しかし彼のことは歴史書では一切語られることもなく、その名だけが片隅に刻まれている。
彼がどのように、どれくらい生きて、どうして死んでいったかなど、今となっては知る由もなく、全ては膨大な歴史の渦の中――。
兄さんの口添えで処刑されることはなかった。
その冷たい牢に、兄さんがやって来る。
「ごめんな、月雫。もうすぐ出してやるから。今の状況が落ち着いたら」
「……分かった」
くらっと、目眩がした。
僕が倒れると兄さんがあわてて牢の鍵を開けて入って来る。
「大丈夫か!」
兄さんが僕の頬に手を添えた。
泣きそうな表情をしていた。
「大丈夫か、月央……」
“月央”?
「意地が悪いなぁ、兄さん…。僕が月雫じゃないって分かってたの?」
「当たり前だろ。お前たち2人、顔はそっくりだけど見分けられなかったことはない」
「そんなに…僕のこと、見てた?」
「ああ。だって大事な弟だから。……ったく無茶ばかりして。お前は昔から体が弱かったから。すぐに部屋に連れて行ってやる。休めば治るだろ」
僕は首を振った。
「ここがいい。牢の中が、いい。僕ね、月雫を――」
「殺したのか」
兄さんの声は震えていた。
僕が何も答えずにいると、更に言う。
「どうして俺は殺さなかった。お前が憎んでいたのは俺もだろ?」
「だって、だって兄さんは――」
兄さんが王になることが、あいつの夢だったから。
あいつの夢が、僕の夢だったから。
第53代目国王・真月(しんげつ)。
実名を曙月といい、一度継承権を捨てた彼は蜂起して玉座についた。
この異例の出来事の裏には、彼の弟・月央の1人の少女への思いがあった。
しかし彼のことは歴史書では一切語られることもなく、その名だけが片隅に刻まれている。
彼がどのように、どれくらい生きて、どうして死んでいったかなど、今となっては知る由もなく、全ては膨大な歴史の渦の中――。
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