還空論
HP「SECRET GAME」の付属ブログです。日記や小説。
ただしここでの小説には、あまり計画性がありません; HPの小説の番外編もあります。
×
[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
過去に神風零様の小説(たち)に感化されて描いたもの。(なんかすみません;)
キャラクターというわけではないんですが^^;
あくまで感化されて、です。
とても雑で下手なのはご愛敬。笑”
気が向いた方はどうぞ。
キャラクターというわけではないんですが^^;
あくまで感化されて、です。
とても雑で下手なのはご愛敬。笑”
気が向いた方はどうぞ。
「まずは国を広くしようと思う」
庚は真面目な顔でそう言った。
「兵を集めろ。農民も商人も、仕える奴は兵へと鍛え上げていく」
斎はぎゅっと唇を噛みしめる。
「庚様、それはつまり…!」
「戦争だ」
灯央はいつも穏やかな目をしていた。それでいて、優しかった。
庚はいつも強い目をしていた。剣の腕も国内随一、それが認められて近衛隊長を務めていた。
誰もが灯央の下に就きたいと思い、誰もが庚の後についていきたいと願う。
人を魅了する両極端の2人。相反する者たちは、衝突するか余程懇意になるか。
2人にとっては前者だった。
しかしいざ2人が争えば、勝敗は考えるまでもない。
庚が勝つに決まっている。
どちらにつくのが正しいのか、皆本能で悟っていた。
10年前のクーデター。庚の味方は灯央のそれよりも5倍ほどの人数がいたという。
忘れるな。お前たちは、自分で自分の主を選んだのだ。
それが、庚の即位式での言葉だった。
「つまり、詩紀も黄凱出身…?」
俺は声が震えていた。
「しかも没落貴族のね」
「貴族……?」
詩紀は微笑む。
「そう。俺の家は15年前までは普通の貴族の家だった。領地を与えられていて、そこを治めながら穏やかに暮らしていたよ」
だったらどうしてこんなところに?
「不思議そうな顔をしているね、綸様。何故俺がこんなところにいるのかと、そう思っているんだろ?」
俺は黙って頷いた。
詩紀はそれを見て話を続ける。
「俺の家はね、黄凱という国に裏切られたんだよ。国をもっともっと豊かにするために、国をもっともっと安定した国にするために、俺たちという生贄を使って、国全体の貴族や役人を制圧したんだ」
「それが、15年前…?」
「そう。もっとも、生贄は俺たち家族だけではないけどね、勿論」
「つまり、父上の治世…?」
「そうだよ。善帝として民から慕われていた皇帝・灯央様。完璧な人間なんかいない。彼は正しいことばかりを行ってきたわけじゃない」
「そんな!」
「彼の所為で俺はこんなところへ来る破目になった。――だからね、俺は」
詩紀は先刻りんごの皮を剥いていたナイフを、俺の首筋に当てた。
ひんやりとナイフの冷たさを感じる。
「黄凱の皇族が大っ嫌いなんだ。ましてやあんたは皇太子。……灯央様の子どもだろ?」
何が、起きている……?
詩紀が父上を…俺たち、皇族を恨んでいる?
いや、待て。
それよりもまず、信じられない。
あの父上が、そんなことをしていたなんて信じられない…!!
「なーんてね」
詩紀は突然明るい声で言った。
俺は声も出ず呆然と詩紀を見る。
「綸様、灯央様は正しいよ。1の犠牲で100を救う。国の上に立つ人として、灯央様はその道を選んだ。そしてその1の犠牲に俺の家を選んだ。俺たちが黄凱の民として、それを受け入れるのは当然のこと」
当然、だって…?
詩紀はナイフを懐にしまった。
「確かに昔は恨んでいた。でももうそれは時効。俺だって今年で27歳になった。理性ある考え方ぐらいできるよ。何より俺は燐のことが好きだしね」
「詩紀……」
「ねえ、綸様。これは純粋に元黄凱の民として貴方に問うよ。10年前、何があった…? 突然灯央様が皇帝の座を弟である庚様に譲った。それぐらいのことしか、他国には流れていないんだ。極東の国・黄凱は中のことが外に知られにくい。小さい国だしね。でも灯央様が退いたくらいで、その後継であるはずの貴方がここに来るのはおかしい。しかも遅れること10年、翏様までが、この町にやってきた。それは何故……?」
俺が、何故ここにいるのか、だって?
決まってるじゃないか。
「俺が弱かったからだ」
父上も、国も、そして今だって翏さえも何も守ることができないほど弱いからだ。
10年前、俺を殺せという叔父上の命令を斎が止めた。
そしてこの町へと連れて来られた。――斎に命じられた者たちの手によって。
何故斎がそんなことをしたのかは分からない。
ただ1つ言えるのは、俺が生き延びたのは決して俺の力のおかげではないということ。
俺は生かされた。
けれど何のために生きているのか、その目標は既に見失っている。
「灯央様はどうしているの?」
「……死んだ」
俺はつぶやくように答え、詩紀に向かって薄く微笑みかけた。
「亡くなった…!? ――やっぱり」
「そう、殺されたんだ。叔父上に」
「叔父ってことはつまり庚様。予想はしていたけどクーデターか。だからこそ綸様がこの町に送られた」
「でもそれは果たして、クーデターと呼べるものかな…」
叔父上の狙いは政権ではなく、俺たちの母。
父上が皇帝でさえなければ、クーデターたりえなかった。
なぁ、斎。
叔父上は本当に、お前がつく程の男なのか?
お前がついていながら、13回も反乱が起きるなんてどういうことだよ。
――許さない。
民を傷つけるのは許さない。
国を潰すのは許さない。
「その表情から察するに――」
詩紀はにっこりと笑った。
「どうやらあんたもこのままで終わる気はないみたいだね」
「え……?」
「違うの? そんなにも遠くを睨みつけているくせに」
「……たとえこのまま終わらせる気がなくても、俺は何もできない。皇帝となった叔父上の前には俺の力は完全なる無に等しい」
「へえ? あ、そう。そう思うんならそれでもいいんじゃない?」
「詩紀?」
「あんたは自分が無力だと思うんだね。10年前皇太子だった燐はここに来たとき、生き抜くために必死に強くなろうとしてた。今ではこの町の誰からも一目置かれるようになったあんたが、庚親王の前ではまるで無力だと、そう思っているんだね」
「何が言いたい」
「何も」
俺は詩紀を睨んだ。
詩紀もまっすぐに俺を見据えている。
「その目」
詩紀の手が俺の頬に触れた。
「思い出すよ。灯央様の目を。灯央様が俺の家を攻めてきたときのことを。訳も分からず偽の罪状を叫ばれて、弁解の余地も与えられないまま父と母は殺された。俺には兄が2人いたけど、その兄たちも殺された。俺の一族で生き残ったのは、皇太子・綸様と年が近く、そして彼と同じような赤い髪をしていた俺だけ」
「―――やめて…くれ…!!」
聞きたくない。
「もっと言うよ。あんたが決心してくれるまで」
「何を……!」
「あんたは俺がここに来ておよそ15年。待ちに待ったチャンスなんだ! 見す見す逃しはしない!」
詩紀は俺の胸倉を掴んで叫ぶ。
「何が欲しい!? 何が足りない!? お前は強い! 皆から慕われるだけの性格の良さもある! 俺だってあんたが好きだ! なぁ、どうしたら自分に自信を持ってくれる!? どうしたら自分の力を信じて、国を取り戻そうと決意してくれる!? 俺は家を復興させたい! 当主の血はまだ俺の中に流れてる! まだ俺の家は……一族は終わっちゃいない!!」
いつか、いつか。
必ず復興させると、家族の墓前で誓ったんだ。
「詩紀……っ」
つまり俺に、もう1度黄凱でクーデターを起こせと?
庚は真面目な顔でそう言った。
「兵を集めろ。農民も商人も、仕える奴は兵へと鍛え上げていく」
斎はぎゅっと唇を噛みしめる。
「庚様、それはつまり…!」
「戦争だ」
灯央はいつも穏やかな目をしていた。それでいて、優しかった。
庚はいつも強い目をしていた。剣の腕も国内随一、それが認められて近衛隊長を務めていた。
誰もが灯央の下に就きたいと思い、誰もが庚の後についていきたいと願う。
人を魅了する両極端の2人。相反する者たちは、衝突するか余程懇意になるか。
2人にとっては前者だった。
しかしいざ2人が争えば、勝敗は考えるまでもない。
庚が勝つに決まっている。
どちらにつくのが正しいのか、皆本能で悟っていた。
10年前のクーデター。庚の味方は灯央のそれよりも5倍ほどの人数がいたという。
忘れるな。お前たちは、自分で自分の主を選んだのだ。
それが、庚の即位式での言葉だった。
「つまり、詩紀も黄凱出身…?」
俺は声が震えていた。
「しかも没落貴族のね」
「貴族……?」
詩紀は微笑む。
「そう。俺の家は15年前までは普通の貴族の家だった。領地を与えられていて、そこを治めながら穏やかに暮らしていたよ」
だったらどうしてこんなところに?
「不思議そうな顔をしているね、綸様。何故俺がこんなところにいるのかと、そう思っているんだろ?」
俺は黙って頷いた。
詩紀はそれを見て話を続ける。
「俺の家はね、黄凱という国に裏切られたんだよ。国をもっともっと豊かにするために、国をもっともっと安定した国にするために、俺たちという生贄を使って、国全体の貴族や役人を制圧したんだ」
「それが、15年前…?」
「そう。もっとも、生贄は俺たち家族だけではないけどね、勿論」
「つまり、父上の治世…?」
「そうだよ。善帝として民から慕われていた皇帝・灯央様。完璧な人間なんかいない。彼は正しいことばかりを行ってきたわけじゃない」
「そんな!」
「彼の所為で俺はこんなところへ来る破目になった。――だからね、俺は」
詩紀は先刻りんごの皮を剥いていたナイフを、俺の首筋に当てた。
ひんやりとナイフの冷たさを感じる。
「黄凱の皇族が大っ嫌いなんだ。ましてやあんたは皇太子。……灯央様の子どもだろ?」
何が、起きている……?
詩紀が父上を…俺たち、皇族を恨んでいる?
いや、待て。
それよりもまず、信じられない。
あの父上が、そんなことをしていたなんて信じられない…!!
「なーんてね」
詩紀は突然明るい声で言った。
俺は声も出ず呆然と詩紀を見る。
「綸様、灯央様は正しいよ。1の犠牲で100を救う。国の上に立つ人として、灯央様はその道を選んだ。そしてその1の犠牲に俺の家を選んだ。俺たちが黄凱の民として、それを受け入れるのは当然のこと」
当然、だって…?
詩紀はナイフを懐にしまった。
「確かに昔は恨んでいた。でももうそれは時効。俺だって今年で27歳になった。理性ある考え方ぐらいできるよ。何より俺は燐のことが好きだしね」
「詩紀……」
「ねえ、綸様。これは純粋に元黄凱の民として貴方に問うよ。10年前、何があった…? 突然灯央様が皇帝の座を弟である庚様に譲った。それぐらいのことしか、他国には流れていないんだ。極東の国・黄凱は中のことが外に知られにくい。小さい国だしね。でも灯央様が退いたくらいで、その後継であるはずの貴方がここに来るのはおかしい。しかも遅れること10年、翏様までが、この町にやってきた。それは何故……?」
俺が、何故ここにいるのか、だって?
決まってるじゃないか。
「俺が弱かったからだ」
父上も、国も、そして今だって翏さえも何も守ることができないほど弱いからだ。
10年前、俺を殺せという叔父上の命令を斎が止めた。
そしてこの町へと連れて来られた。――斎に命じられた者たちの手によって。
何故斎がそんなことをしたのかは分からない。
ただ1つ言えるのは、俺が生き延びたのは決して俺の力のおかげではないということ。
俺は生かされた。
けれど何のために生きているのか、その目標は既に見失っている。
「灯央様はどうしているの?」
「……死んだ」
俺はつぶやくように答え、詩紀に向かって薄く微笑みかけた。
「亡くなった…!? ――やっぱり」
「そう、殺されたんだ。叔父上に」
「叔父ってことはつまり庚様。予想はしていたけどクーデターか。だからこそ綸様がこの町に送られた」
「でもそれは果たして、クーデターと呼べるものかな…」
叔父上の狙いは政権ではなく、俺たちの母。
父上が皇帝でさえなければ、クーデターたりえなかった。
なぁ、斎。
叔父上は本当に、お前がつく程の男なのか?
お前がついていながら、13回も反乱が起きるなんてどういうことだよ。
――許さない。
民を傷つけるのは許さない。
国を潰すのは許さない。
「その表情から察するに――」
詩紀はにっこりと笑った。
「どうやらあんたもこのままで終わる気はないみたいだね」
「え……?」
「違うの? そんなにも遠くを睨みつけているくせに」
「……たとえこのまま終わらせる気がなくても、俺は何もできない。皇帝となった叔父上の前には俺の力は完全なる無に等しい」
「へえ? あ、そう。そう思うんならそれでもいいんじゃない?」
「詩紀?」
「あんたは自分が無力だと思うんだね。10年前皇太子だった燐はここに来たとき、生き抜くために必死に強くなろうとしてた。今ではこの町の誰からも一目置かれるようになったあんたが、庚親王の前ではまるで無力だと、そう思っているんだね」
「何が言いたい」
「何も」
俺は詩紀を睨んだ。
詩紀もまっすぐに俺を見据えている。
「その目」
詩紀の手が俺の頬に触れた。
「思い出すよ。灯央様の目を。灯央様が俺の家を攻めてきたときのことを。訳も分からず偽の罪状を叫ばれて、弁解の余地も与えられないまま父と母は殺された。俺には兄が2人いたけど、その兄たちも殺された。俺の一族で生き残ったのは、皇太子・綸様と年が近く、そして彼と同じような赤い髪をしていた俺だけ」
「―――やめて…くれ…!!」
聞きたくない。
「もっと言うよ。あんたが決心してくれるまで」
「何を……!」
「あんたは俺がここに来ておよそ15年。待ちに待ったチャンスなんだ! 見す見す逃しはしない!」
詩紀は俺の胸倉を掴んで叫ぶ。
「何が欲しい!? 何が足りない!? お前は強い! 皆から慕われるだけの性格の良さもある! 俺だってあんたが好きだ! なぁ、どうしたら自分に自信を持ってくれる!? どうしたら自分の力を信じて、国を取り戻そうと決意してくれる!? 俺は家を復興させたい! 当主の血はまだ俺の中に流れてる! まだ俺の家は……一族は終わっちゃいない!!」
いつか、いつか。
必ず復興させると、家族の墓前で誓ったんだ。
「詩紀……っ」
つまり俺に、もう1度黄凱でクーデターを起こせと?
カレンダー
カテゴリー
最新記事
最新コメント
ブログ内検索