還空論
HP「SECRET GAME」の付属ブログです。日記や小説。
ただしここでの小説には、あまり計画性がありません; HPの小説の番外編もあります。
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雑踏の中でたまたま聞こえた声。
聞こえるくらいなのだからどこか近くにいるのだろう。体調不良のためあまり神経が働かないが、側にいることは確かだ。
紫音は立ちあがった。
それだけの動作なのに嫌に胸に痛みが響く。
目線だけで逃げ込みそうな場所を探した。
信号待ちの人ごみがある。
「そこまで……走るんだ…」
自分の体を奮い立たせるように呟いた。そうでもしなければ、とてもじゃないが足が動かない。
力が入らない。
耳を荒い息使いの音が支配する。
「音巴くん……?」
目の前を歩いていたカップルが立ち止まった。
女の方が紫音に駆け寄る。
「やっぱり音巴くんだ。……どうしたの? 顔色が悪いよ」
男の方も寄ってきた。
「まじで音巴じゃん。お前急に学校来なくなって何やって――そりゃ。紫音が死んだのは…ショックだろうけどさ、皆さ――ちょ…大丈夫か?」
「音巴くんっ」
「そうだ……音巴が、心配している…」
紫音は呟く。
「どういう……?」
そして走り出した。
周りに潜んでいた2人の人間がそれを追う。
「何……?」
男の方は咄嗟に携帯を取り出した。
素早くメールを打ち、自分も紫音を追いかけた。
「協力ありがとう」
連城さんがそんなことを言ったから、まるで実験台にでもなったみたいで俺は苦笑した。
「検査結果はまた後ほど、ね」
「そういえば羽鳥は?」
「羽鳥くんも戸隠さんと一緒に紫音くんを探しに行ったよ。君たちはまだここで待ってて」
待ってることしか、俺にできることはないのか。
皆動いてくれているのに。
戸隠さん、羽鳥。
そして相原さん、昭。
「やっぱり、駄目だ」
俺は静かに言った。
近くにいた07が答える。
「お前もそう思うか?」
「浅木に…会うんだ。もう1度。逃げるんじゃなくて。向こうが俺たちを殺す気でも! こうやって人に守ってもらうばかりじゃきっと、意味がないことなんだ」
だからお前たちは“革命”を起こしたんだろ?
普通に生きる、自由を得るために。
聞こえるくらいなのだからどこか近くにいるのだろう。体調不良のためあまり神経が働かないが、側にいることは確かだ。
紫音は立ちあがった。
それだけの動作なのに嫌に胸に痛みが響く。
目線だけで逃げ込みそうな場所を探した。
信号待ちの人ごみがある。
「そこまで……走るんだ…」
自分の体を奮い立たせるように呟いた。そうでもしなければ、とてもじゃないが足が動かない。
力が入らない。
耳を荒い息使いの音が支配する。
「音巴くん……?」
目の前を歩いていたカップルが立ち止まった。
女の方が紫音に駆け寄る。
「やっぱり音巴くんだ。……どうしたの? 顔色が悪いよ」
男の方も寄ってきた。
「まじで音巴じゃん。お前急に学校来なくなって何やって――そりゃ。紫音が死んだのは…ショックだろうけどさ、皆さ――ちょ…大丈夫か?」
「音巴くんっ」
「そうだ……音巴が、心配している…」
紫音は呟く。
「どういう……?」
そして走り出した。
周りに潜んでいた2人の人間がそれを追う。
「何……?」
男の方は咄嗟に携帯を取り出した。
素早くメールを打ち、自分も紫音を追いかけた。
「協力ありがとう」
連城さんがそんなことを言ったから、まるで実験台にでもなったみたいで俺は苦笑した。
「検査結果はまた後ほど、ね」
「そういえば羽鳥は?」
「羽鳥くんも戸隠さんと一緒に紫音くんを探しに行ったよ。君たちはまだここで待ってて」
待ってることしか、俺にできることはないのか。
皆動いてくれているのに。
戸隠さん、羽鳥。
そして相原さん、昭。
「やっぱり、駄目だ」
俺は静かに言った。
近くにいた07が答える。
「お前もそう思うか?」
「浅木に…会うんだ。もう1度。逃げるんじゃなくて。向こうが俺たちを殺す気でも! こうやって人に守ってもらうばかりじゃきっと、意味がないことなんだ」
だからお前たちは“革命”を起こしたんだろ?
普通に生きる、自由を得るために。
俺は不安になって07を見た。
紫音が拒絶を示すのなら、彼だってそうだろうと思ったからだ。
しかし07は至って冷静で、シオンを追いかけることもなかった。
「仕方がないな、あいつは。昔から嫌に達観している時もあれば、感情に任せて飛び出すこともある」
07が言った。
「クローンでも…俺や07とは違うんだな」
「遺伝子は同じでも、環境が違えば性格も違うってことかもしれない」
「環境…? でもお前たちは同じ所で――」
「いや、まあ……帰る場所は同じだが、教育はそれぞれ違う人間が違う場所で行った。それに同じ所で育つから同じ性格というのなら、世の中の一卵性の双子はそうなるな」
育った場所は違うのか。
だから俺も含めたクローンの皆は、話し方や考え方が違うのだと納得した。
「紫音、頭を冷やしてくるって言ってたけど……」
「あいつが戻ってくるのを待つか、探しに行くか」
聞いていた戸隠さんがため息をついた。
「お前たちは外に出るな。俺が探す」
『待てよ! 04をどこに連れて行く気だよ!』
『返せ! 仲間を返せ!』
――会いたいなら会わせてあげようか?
死体でも、いいなら。
『浅木……!!』
連れて行かれた仲間たち。
浅木たちが奪っていって、帰ってくることはなかった。
検査だとか言っていたけど、何のためのものかも俺たちには知らせてくれなかった。
「ずっとずっと、悪い人じゃないって思っていたんだ」
寧ろ紫音は浅木のことが好きだった。――本物の紫音がそうであったように。
なのにいつの頃からか、崩れ始めてしまった。
好きだったから、余計裏切られた気分で。
「おじいさん、おばあさん……」
自分を育ててくれた老夫婦のことを思い出す。
崩れ始めた頃から、会いに行くことができなくなった。
紫音は気がつけば人通りの多い街中へと来ていた。
大分歩いたようだ。
……病院に戻らないと、音巴たちが心配している。
息も上がっていた。
休憩しようと近くにあったベンチに座る。
「何……これ」
ただ歩いていただけじゃないか。
これくらいの運動、今までは普通にできていた。
「体が、おかしい……?」
自覚した途端、激しく鼓動が波打つ。
心臓が痛くなった。
全身の酸素が足りていない気がする。
ふと紫音の耳に声が届いた。
「発見しました。ナンバーは分かりません」
見つかった……!
紫音が拒絶を示すのなら、彼だってそうだろうと思ったからだ。
しかし07は至って冷静で、シオンを追いかけることもなかった。
「仕方がないな、あいつは。昔から嫌に達観している時もあれば、感情に任せて飛び出すこともある」
07が言った。
「クローンでも…俺や07とは違うんだな」
「遺伝子は同じでも、環境が違えば性格も違うってことかもしれない」
「環境…? でもお前たちは同じ所で――」
「いや、まあ……帰る場所は同じだが、教育はそれぞれ違う人間が違う場所で行った。それに同じ所で育つから同じ性格というのなら、世の中の一卵性の双子はそうなるな」
育った場所は違うのか。
だから俺も含めたクローンの皆は、話し方や考え方が違うのだと納得した。
「紫音、頭を冷やしてくるって言ってたけど……」
「あいつが戻ってくるのを待つか、探しに行くか」
聞いていた戸隠さんがため息をついた。
「お前たちは外に出るな。俺が探す」
『待てよ! 04をどこに連れて行く気だよ!』
『返せ! 仲間を返せ!』
――会いたいなら会わせてあげようか?
死体でも、いいなら。
『浅木……!!』
連れて行かれた仲間たち。
浅木たちが奪っていって、帰ってくることはなかった。
検査だとか言っていたけど、何のためのものかも俺たちには知らせてくれなかった。
「ずっとずっと、悪い人じゃないって思っていたんだ」
寧ろ紫音は浅木のことが好きだった。――本物の紫音がそうであったように。
なのにいつの頃からか、崩れ始めてしまった。
好きだったから、余計裏切られた気分で。
「おじいさん、おばあさん……」
自分を育ててくれた老夫婦のことを思い出す。
崩れ始めた頃から、会いに行くことができなくなった。
紫音は気がつけば人通りの多い街中へと来ていた。
大分歩いたようだ。
……病院に戻らないと、音巴たちが心配している。
息も上がっていた。
休憩しようと近くにあったベンチに座る。
「何……これ」
ただ歩いていただけじゃないか。
これくらいの運動、今までは普通にできていた。
「体が、おかしい……?」
自覚した途端、激しく鼓動が波打つ。
心臓が痛くなった。
全身の酸素が足りていない気がする。
ふと紫音の耳に声が届いた。
「発見しました。ナンバーは分かりません」
見つかった……!
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